非常勤職員の視点から
昨年の4月から縁あって、非常勤職員として行政で働き始め、すでに10ヶ月が経過しましたので、久しぶりに行政関連のことで投稿します。私が初めて垣間見た行政ワールドは、今まで経験した一般企業の職場における意識とはかなりギャップがありましたので、その中からいくつかピックアップして、前向きにまとめてみました。
◎コスト意識
収入源が保障されているからか、自分のお金のような感覚で業務に当たっているような気がします。財源は税金であり、それを有効利用しようという意識が薄いのではないかと思います。特に、業務改善、事務効率化などに対する感度は、一般企業とは開きがあると思います。
多少時間はかかりそうですが、行政にも複式簿記の考え方が少しずつ入ってくるようです。一般企業と同様に財務諸表を見ながら、業務の効率化に向けて努力できる基盤が作られればと考えます。経費がどの程度かかっているかを職員の間で十分に理解することは、効率化に対する職員一人一人の意識を向上させ、経費節減にもつながってくるのではないかと思います。また、例年通りにこだわる風潮が感じられますので、前年同様で良しとせずに、誰のための行政サービスなのかという意識を強く持ち、業務の効率化、サービス向上に努めて欲しいものです。
◎チェック&アクション
通常言われるところのPDCA(Plan,Do,Check,Action)の特にCAがあまり機能していないと考えます。行政の場合、予算でいうところの繰越という考え方ができないため、CAに結びつきにくいということもあるかもしれません。適切なチェック体制とそれに対応した改善を行うことで、がぜんプロジェクトは良くなりますし、やりがいも出てきます。この部分に関しては定常的に気を配って、改善の努力をし、結果を出す姿勢が欲しいものです。チェックは監査が入るときの対策のみと考えずに、常に良いサービスを提供するためにチェック&アクションの努力をしていくべきだと思います。
このことについては外部からの目も必要です。きちんとした情報開示ができていれば、私達がそれに対して声をあげることもできますので、正しい情報開示と外部からの声を聞く体制も重要です。
◎本当に必要なスキル
外部業者に、委託業務を発注する場合など、事務的な処理をこなすスキルを身につける人材教育はなされているようですが、本質的な業務内容についてきちんと考えられる人材教育が欠けているように思います。事務処理がきちんとしていればOKという考え方があり、委託に際して適切な内容の仕様を依頼しているのか、また、委託終了後にその内容が適切であったかどうかを反省し、必要性の是非を含めて検討し、次の機会に備えるといった考え方はあまり重要視されていないように感じます。このことは、価格優先で、サービスの質をなおざりにしてしまう最近の傾向と合致しているように思います。現場職員の意識改革をなんらかの方法で早急に行うか外部から信頼できるスペシャリストを受け入れるような体制が必要だと思います。
◎意識のギャップをなくすために
閉ざされた行政の中でしか物を見てこなかったことが、視野を狭め、守備範囲を狭めてしまっているのではないでしょうか。特に、新卒からずっと行政に勤めてしまうと、世間一般との意識のズレに疎くなってしまうのもうなずけます。別の職場経験を積む人材が必要だと思います。このことで視野も広がりますし、外部に委託する場合の目のつけどころなどに、役立つのではないかと考えます。同業の外部企業への職員の出向、同業の外部企業経験者の雇用などで人材の交流を行い、同業種の一般常識に近づく体制が整えられると良いと思います。ただし、行政職員のSR意識がきちんとされていないと癒着だとか他の問題を引き起こしてしまう可能性があるので、そういった体制を作ることは簡単にとはいかないとも思います。
また、業務改善や外部委託などのために、必要な人員が減ることになるかもしれないですが、その分、サービスを向上させることに力を注ぐべきであると思います。また、行政においても、職員が外部で通用するようなスキルを磨けるような職場であるべきだとも思います。
TrackBack
TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/30031/8666792
Listed below are links to weblogs that reference 非常勤職員の視点から:

Comments
コメントありがとうございます。ご指摘のとおり、行政ばかりでなく、会社でも同様だと思います。ただ、行政の場合、組織が巨大なため、根本部分の腐敗を止めるのは相当大変な気がします。結局、公務員削減とかになると、末端でがんばっている人の努力ってきちんと評価されず、本当は必要な人が削減の対象になっちゃうのでは、と心配です。すでに昨年1年契約で決まっていたはずの給料が今年の1月から削減になりました。。とほほ。
Posted by: いそべかおり | Feb 19, 2006 at 07:37 AM
公務員に限らず、会社でも同じことが言えます。一つの部署に長くいると惰性との闘いに
さいなまれます。ただ民間企業の場合、業績が悪くなればリストラや倒産という市場原理が働いて淘汰されますが、行政の場合ツケの先延ばしと天下り先の確保が優先されるようです。それでも中には頑張っている公務員がいて救われますが、まだ少数派のようです。
Posted by: トシ | Feb 19, 2006 at 04:03 AM
行政の内情のお話、ありがとうございます。
現役職員でありながら、職場のことを書くのは大変な勇気が必要だと思います。
抑えた書き方ですが、言うべきことを言った姿勢に感服します。
指摘の件、とくに下に引用した点は、そのまま企業(とくに大企業)にも通じると思います。
>例年通りにこだわる風潮が感じられますので、前年同様で良しとせずに
財政に余裕のある企業(行政)ならではの発想だと思います。
地方行政の財政難は職員の営業努力ではどうしようもないしくみのようです。
(節約努力の方は、やれば効果がありそうですが)
健全な企業であれば、既存顧客の30%程度は自然減する、だから新たな工夫が必要、という観点に立ちます。
税金で運営している行政では、例年通りの予算確保のためには「使い切らなければ」という感覚があるようですね。
市民のため、国民のためという視点が薄弱だからだと思います。
>本質的な業務内容についてきちんと考えられる人材教育が欠けているように思います。事務処理がきちんとしていればOKという考え方があり
私が契約社員とかで行った大企業もそうでした。
部署の性格、または、私が女性だからかもしれないけれど、意見を言えば敬遠され、些細な事務処理ミスばかりつつかれて、黙らされていました。
>閉ざされた行政の中でしか物を見てこなかったことが、視野を狭め、守備範囲を狭めてしまっているのではないでしょうか。特に、新卒からずっと行政に勤めてしまうと、世間一般との意識のズレに疎くなってしまうのもうなずけます。
行政、大企業に限らず、一つの環境にずっと適応してきた人は注意すべきと思います。
そこを辞めたら、なんにも使えなかった、とかいうことにならないように(笑)。
Posted by: KURO | Feb 17, 2006 at 07:19 PM