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Apr 08, 2006

民主党代表選に関する新聞記事比較(長文御免)

民主党代表選に関する記事、さすがに各紙すごい分量の報道で、5紙(朝日、読売、産経、毎日、東京)を読むのにすごい時間がかかってしまった。
おそらく本一冊分の分量はあったことだろう。
お陰で私は小沢さんのことに大変詳しくなった。

今回の記事評価は、
・1面での扱い
・社説
・総合面、政治面、社会面等の独自取材
・演説・会見の要旨
・他党の反応
・掲載率(少しでも関連記事があったページを全ページ数で割る)
の6項目で、良いと思った順に5点、4点・・・となっていく。
評価の根拠としては、民主党支持の私の意向が加味されるが、報道の質にも最大に注意をはらったつもりである。

●1面での扱い

当然トップ記事でしょうと思いきや、トップ扱いしてない紙が2紙。
朝日新聞と産経新聞だ。
両紙のトップは普天間同意に関する記事になっている。
普天間問題も確かに大切な問題で、市民への大きな裏切りという点で、私は憤りを覚える。
だが、この問題はある意味「水もの」である政治記事に比べ、十分な検証を行った上で改めて特集したって良い問題だ。
第一、知事は反論する見込みであり、知事との交渉が行われる8日を待ってから特集しても良いはずだ。
民主党代表選の記事は、今日の朝刊を逃せばもう取り上げることはできない。

この観点で読んでみたのだが、産経の中身は違った。
右上から順番に重要度を示していると考えればたしかに民主党の記事は2つめの扱いだ。
だが、記事のボリュームや写真の扱い、内容は、大変に力の入ったものだ。
他紙の一面とは一風変わった独自取材記事や記名記事がある。
記名記事の内容が秀逸で、「挙党一致」を強調する他紙の論調とは全く逆で、むしろ「剛腕を磨いていくべきで、自らの個性を殺して和を重視する必要はない」とエールを送っている。
取り上げ方はかなり好意的で、これが産経新聞なのか、と思った。

東京、毎日、読売の三紙は1面トップの扱いで、わりに似通っている。
それぞれ政治部記者の論説文を載せており、毎日と東京は好意的にエールを送っており「壊し屋」という言葉を使っていない。
読売の論説文は辛口。読売としての注文を書いているが、この内容が産経と対照的なのが目を惹いた。
記者の論説文にはそれぞれの意見の特徴があり、好みを含めて採点すれば、東京・毎日と読売には少し差をつけておきたくなる。

問題は民主党大嫌いな朝日新聞だ。
朝日のトップ記事は、ほとんどが普天間問題、付録として民主党という具合に完全に民主党代表戦を軽視しており、文の内容にもなにも新しいものがない。
投げやりな印象を持つ記事で、他紙のように総力取材で一生懸命作った記事にはとても見えない。
経済紙としてのアイデンティティーを色濃く示しているためいつもこの比較からは除外している日経新聞でさえもトップは民主党だったのに。

気に入らないニュースをあまり伝えないのは朝日新聞の特徴だ。
テレビや新聞の「露出率」は支持率に影響を与える。
露出度が高いほど親近感を感じるので、好感度は増していく。
今回もそうだろう。投票の様子や小沢さんの演説を見て、民主党や小沢さんに好感を持った人は多いと思う。
小沢アレルギーがあって民主党にがっかりした人もいるだろうけど、好感を持った人の方が多いと私は思う。
小泉政権を応援するためには、民主党批判をするより取り上げない方が簡単だ。
批判をすれば、その批判が不当、行き過ぎと思われれば逆に批判された対象のイメージがよくなる場合もあるからだ。
朝日はそのあたりでえらく政府に遠慮しているように見える。
何度でも言うが、朝日は内政については小泉支持だ。

1面トップの評価は、
産経 5
毎日・東京 4
読売 3
朝日 1
となった。

●社説

前向きな社説と後向きな社説で分かれた。
メール問題の責任をとって、党として最大の改革を行った民主党を、スタート段階から一方的に批判するような態度はいただけない。
今後の注文も含めた前向きな社説であれば、辛口であっても甘口であっても私は評価したい。

この点で前向きなのが産経と東京。
後向きが朝日、読売、毎日。

とくに驚きは前向きの中でも東京が比較的辛口エールなのに対して、産経は甘口エールな点だ。
これに対して将来の悪い方向ばかり懸念する朝日や、9月まで次の選挙をしないのは悠長などと述べた毎日は一方の側の主張のみを繰り返した意見押し付け系。
朝日・毎日ほどではないにせよ、旧態依然、時代遅れなどと揶揄し強引に自社の持論をもって「こうするべきだ」と注文をつける読売も、論理的ではないと感じた。
私の好みも含めて、産経が5、東京が4、朝日・読売・毎日を1点とする。
毎日新聞の思想分裂は危険。
朝日と同じく右旋回中かもしれない。
ただ、毎日新聞の論説委員には岸井成格という有名な小泉応援団がいて、この人の論調だけは社の見解から浮いている。
岸井成格が書いた社説かもしれない。

●独自取材記事

ここでも光っていたのは産経新聞。
外交や憲法関連、安全保障についてはタカ派思想に偏る産経だが、私が今までに比較で取り上げた問題(内政)については、公平でデータ重視の傾向があり、バランスが良いと思う。
いろんな角度から取材しているが、全体に前向きでユーモアもある文体。
とくに、他紙が掲載していなかった両候補の推薦人一覧や、テレビ報道の様子を書いた記事は興味深い。
産経は、基本的内容の解説になりがちな1面にも工夫がある。
基本内容の説明は少なめで、その分独自取材の特集等を1面から掲載する。

掘り下げて報じたのは東京新聞。
この新聞は社会面の前の2ページを使って毎日「特報」というコーナーを載せる。
旬なニュースを週刊誌的に取り上げ、肩の力を抜いて読める非常に優れたコーナーだ。
また、社会面での街の声の取材がすごい。
多くの人への取材を一覧表にして、コンパクトに述べている。力が入っている。
それと、自民党を壊そうとする小泉さんの後から、「手伝うよ」とブルドーザーに乗って登場する小沢さんの漫画が良かった。

基礎知識の習得には読売新聞が良い。
独自性や面白みには欠けるものの、いつも、割に基本的なことのおさらいから記事を書く傾向があり、包括的にニュースを把握したい人向け。
時事問題の勉強などに新聞を利用する人には、案外良いかもしれない。

以上3紙は客観的な報道に徹していた。
だが、最低だったのは朝日と毎日。
毎日の評価できる点は他紙がやってなかった票読みの事前調査と岩見隆夫さんのコラム。
岩見さんのコラムは中立で、ただ今回の結果により政治が面白くなることを強調している。
その他の記事は岸井の影響下にあったのだろうか。
「演出」「本当にやるのか」「運営に不安」「テレビ番組のはしご」
など否定的、皮肉な言葉が並ぶ。
否定してもいい。
ただ、対案として(笑)肯定的な部分もちゃんと報じて、読者に考えさせるべきではないのか。

朝日はさらにひどい。
なにしろ記事数や記事への力の入れ方が全然なってない。
他紙に比べて極端にあっさりした報道で、内容的にも新しさはなく、手抜き報道と言わざるを得ない。
一つだけ評価できるのは、他紙がやっていない菅さんの動きに関する報道だ。
選挙準備に焦点をあて、両候補を同じ分量で紹介している。
ただ、小沢さんに関してはかなり批判的なのに対し、菅さんが「負けてあげた」と取れるようなエピソードを載せており、あまりにも温度差がある。
トップページで使っている小沢さんの写真よりも政治欄で使っている菅さんの写真のサイズが大きいのも異例な感じだ。
朝日は菅さん応援だったんだろう。

評価は、内容に特色のある産経と東京が5点。
初心者に優しい読売が4点。
誹謗中傷中心の毎日は2点。
やる気もない朝日は1点。

●演説・会見の要旨

一番詳しいのが読売で、投票前に行った演説と、決定後に行った会見(所信表明みたいなの)に加え、記者会見要旨も載せている。5点。
演説要旨と所信表明要旨を載せたのが毎日と産経で3点。
所信表明要旨のみの朝日と東京が2点。

東京と産経は共同通信かなにかの記事を載せているため要旨の内容は一緒。
この要旨は項目別にまとめてあるためわかりやすいが、笑ったのは産経が「外交」を省略しているところ。
総じて肯定的に記事をまとめた産経にとって小沢さんの「中・韓との関係を良くする」外交政策は気に食わなかったのだろう。
逆に朝日は独自取材記事欄などで繰り返しこの外交政策について記述している。ここだけは気に入ったのかもしれない。

●各党の反応

まあどの紙も同じような党首コメントみたいな記事だが、共産・社民の扱いに注目してみた。
全紙を比較している場合には、繰り返し同じ記事が出てくることになるが、普通の人はこんなことはしない。
どれか1紙と日経をとってるとかが普通だろう。
共産・社民は少数政党であるとは言え、やはりそれらの党を支持している国民だっている。
それらの党を全く無視した態度はいかがなものか、と思うのだ。
加えて自民党の焦りについても読みたい。

全部の党の党首の見解を載せているのは東京と毎日。
とくに毎日は自民党の反応についても詳しい。
毎日が5点で東京が4点だ。

産経は与党のみ、読売は自民党のみだ。
自民党の反応についてはそれぞれ一定の記述がある。3点。

そして朝日新聞さんは、なんと首相と安倍さんの言葉だけを載せている。
手抜きもあるが、さては朝日新聞さん。
尊敬する小泉さまの後をしっかり引き継ぐタカ派の安部さんを推奨ですか?
随分と外交理念を曲げなければ難しいようですが。

●掲載率

全紙社説では扱ってるので、今回は社説は数えずに掲載ページを数えた。
地方欄も数えない。
基本的に掲載ページ数を数えるときには1面に載ってる「関連記事を何ページに記載」に基づいて数えている。
自分で全紙面をめくって確認することはやってない。
ただ、私は正直自分で宿敵だと思ってる朝日の動向が実は気になる。
朝日だけ特別に他ページも見てたら、オピニオン欄に元三重県知事の北川正恭さんの論説文が載っていた。
朝日新聞の記事全体の中でもこの意見が最も中立で前向きで良い内容だったのだが、朝日新聞はトップの「関連記事」でこれを紹介していない。
有識者であってもあくまでも「オピニオン」として無視してるのかなあ、と思い、これをカウントするかどうかで悩んだ。
でも、朝日が記事として数えていないこれを一つと数えるとすれば、他の新聞もチェックしなければならないし、じゃあ読者投稿はどうするのだ、ということになる。
だから、0.5と数えることにしたから、朝日は掲載ページ数が4.5となった。
これを全ページ数の36ページで割って掲載率を出した。

結果は、
東京新聞 28.57%
毎日新聞 17.86%
読売新聞 17.5%
朝日と産経 12.5%
となった。

上から順に5、4、3、2点と採点。

●総合得点(30点満点)

1位 東京新聞 25点
2位 産経新聞 23点
3位 読売新聞 19点
4位 毎日新聞 18点
びり 朝日新聞 8点

毎度言い訳してるが、私は政府寄りの考えを持つ人間ではなく、民主党支持者だ。
理由は政治にバランスを求めるからだ。
だから政府が一方の方向にまい進している今などは対抗力を持っている野党第一党を応援する。
「民主党はわかりにくい」
と揶揄する論調はたくさん聞くが、たしかに自民や社民と比較すればその中間に位置する民主党はわかりにくくなる。

だが、わかりやすければいい、白黒はっきりしてればいいというものでは政治はないと思う。
極端に偏ることなくバランスを考えて、景気対策みたいな攻めの部分と弱者保護みたいな守りの部分の両立を目指す政党がいいと思う。
それを目指す党は、現在のところ民主党、国民新党、新党日本の3党だと思う。

この考えに近い新聞は東京新聞で遠い新聞は産経新聞だ。
考えが近く、納得ずくで購読することに決めた東京新聞を私が評価すれば、高得点になるのは当然。
考えが違うのにいつも比較的高得点を記録する産経新聞には、私は敬意を表したいと思う。

はっきり言えるのは、朝日新聞という新聞は社の好みが記事に色濃く反映される新聞であるということだ。
右系の人から批判されるのは当然であろうが、では政府批判したい人は朝日を支持するか、と言えばそうでもない。
社長の息子が大麻で逮捕されたことを18日間も隠していたことからもわかる通り、朝日の公平中立性には大きな疑問符がつくと言わざるを得ない。

過去の民主党の代表選挙のとき、必ず政府筋がもっと大きなニュースをぶっ放して1面トップを奪ってきた。
今日の勝谷さんの日記の表題はそれを皮肉っている。
この戦略に今回乗っかったのは朝日と産経。
ただ産経は形としては乗っかっていても、記事の内容で読者への誠実を果たした。
朝日は完全に乗っかっている。
たぶん朝日自身の意志とも合致したんだろう。

朝日新聞を購読している方、本当に気をつけてください。

【追記】
4月9日付けの東京新聞「筆荒」では、「民主党代表選に何をぶつけてくるだろうと思ったら普天間だった」と断じている。
よくぞ言った。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/hissen/20060409/col_____hissen__000.shtml

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